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■ 蓄財より会社の永続を願う

 確かに、あらゆる経営情報を公開し、挙がった利益は経営者の収入や内部留保に回すことなく社員に分配する、などという21は、従業員にとっては素晴らしい企業だろう。しかし、経営者、ましてや創業者にしてみれば、手にして当然のインカムゲインをあまりにも犠牲にし過ぎているように映る。その疑問に平本氏はこう答えてくれた。

 「金持ちになって、何か良いことがあるのでしょうか。良いことはありませんよ。自分で言うのも何ですが、心底そう思うからこそ、蓄財に走らず、その結果、人から信頼されるのだと思います。信頼されなければ、人は去り、会社はすぐにでも倒れてしまう。その方が、私には恐ろしいんですよ」。

 創業間もない頃は、一緒に苦労してくれる社員にはなかなか恵まれない。だから、創業者は精一杯のことをして社員を待遇するのが当たり前。それがいつしか逆転することの方がおかしい、と平本氏は力説する。「『社員がいるから社長がいる』か、『社長がいるから社員がいる』と考えるかの違いですね。そして、考えたことを本気でやるかどうか、ということです」(平本氏)。

 21の経営理念の原点が理解できたところで、その“推進システム”のいくつかを見ていくことにしよう。

■ 接客態度向上を最優先
コーディネーター
池本 龍氏

 まず、「利益は内部留保せずにすべて社員の賞与、もしくは商品の値下げに使う」ということが挙げられる。21のコーディネーターの池本龍(のぼる)氏は、その理由を次のように語る。

 「メガネの小売店にとって、業績向上に一番大切なことは、接客態度を良くすることです。そのためには、従業員のニーズに応え、労働意欲を高めることが重要。ですから、高額のボーナスを支給することで、人材に集中的に投資しているわけです。社内に利益を残すよりも、社員に分配する方がメリットがあると考えています」。

 それだけではない。従業員の私生活にまで配慮は及んでいる。「恋人と別れたから住む場所を変えたい。だから勤務先も変えてほしい」などといった従業員の私生活に関する要請を素直に受け入れる企業はあまりないだろう。しかし、21の経営層はむしろ積極的にそういった声を聞き、できる限り実現させている。「そういった私生活におけるコンディションが、接客していて、つい顔に出てしまうから」(池本氏)である。

■ 評価は「間違っている」から公開する
21の店内

 次に、「社員の評価や賞与支給額はじめ、ほとんどの経営情報はイントラネットで公開する」点だ。

 平本氏は、ここでも超・常識的な理由を説明する。「皆さん、よく『人を評価する』と言いますが、本当に正確な評価はできますか? 神様でもない限り、無理ではないでしょうか。しょせん人の評価なんて、間違っているからです。だからこそ、評価をすべて公開して、『この評価は間違っていますよ、皆さん。だから、異議がある人は、どうか申し出てください』と言っているわけです。」。

 社員の評価点は、上司がつけたものをみんなで議論して決めているという。仕組みとしては100点満点のうち、何点になったかが、その人の評価である。この点数に従って、会社が上げた利益が公平に分配される。賞与の支給額が評価点で左右されるだけに、自分の評価点については、各社員ともさぞ敏感に反応すると思われるが、「当初は数人が文句を言ってきましたが、今は一人も言ってきません」(平本氏)。

 平本氏は続ける。「誰が評価しても、10点の違いは起きません。でも、1点、2点の違いは逆に誰にも分かりません。もし、あなたが21の社員としたとしましょう。で、評価点が75点が妥当なのか、それとも76点なのか、いや、77点なのか。誰でも納得できるように、明確に説明できますか? 多分、本人にも分からないと思います」。

 1点、2点の評価を精緻にするには、膨大な手間と時間、コストがかかる。「もし実施すると、その手間などにコストがかかり、賞与は20万円になる。そんなことより、“いい加減”で申し訳ない分、コストを省いて賞与を80万円にする。どちらがいいか、と社員に尋ねたら、ほぼ全員が後者を選びましたね」(平本氏)。

社員の評価および賞与支給額を公開する画面
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