すべてがNGというわけではありません。従来の方法だけでは限界が見えてきている、ということです。
学習とは実践です。企業がやるべきことは、従業員が与えられたミッションをいかに効率的に達成し、期待以上の成果を上げさせるためのサポートを提供できるか。これが、新しい人材育成の取組みのあるべき姿です。
これまで多くの企業で実行されてきた全社一斉の階層別・職能別カリキュラム、あるいは通信教育や集合研修といった形態に頼った研修だけでは、先ほど述べたように、現在起きている経営環境の急激な変化に追いついていけません。業務と直接関係のない教材をベースとした、“福利厚生的な”研修を「人材育成」と称してやらせるのではなく、いま、まさに直面している課題を解決するサポートをし、従業員にどんどん成功していってもらうこと。これが求められているのです。
そこで、現場に権限を大幅に委譲し、現場で適切に対応してもらう。そのような意味では、「新しい形のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」と言えるかもしれません。環境の変化に伴い、新たな知識やスキルを必要とした現場の当事者が適宜、自ら学んでいけるようにする。これがポイントです。ここにITが必要不可欠な要素として登場します。「見て覚えろ」「仕事のやり方は盗むものだ」的な旧来のOJTとは若干異なります。ITの活用によって、伝える側の“形式知化”の努力が必要になる点、それから一度作られた“知”(ナレッジ)が共有される点などが違いです。
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