21の経営戦略において、とりわけユニークなのは、経営トップの権限をことごとく“弱めている”ことにあると言える。社長は、商法で定められている法制上、置いてはいるが、「社員から尊敬される会社の顔」といった役割程度しか持たない、という。任期は4年で、それが過ぎると普通の「取締役」に戻る。報酬にも上限を定める決まりがあり、いくら業績を挙げても、上限を超えると商品の値下げなどに還元される。それらの理由を21のコーディネーター(注)である平本清氏は次のように語る。
「たとえ企業のオーナーであっても、企業を“私物化”しようとした瞬間、つまり経営者の欲の皮が張り始めた瞬間から、従業員は幸せではなくなるという、弊社創業メンバーの実体験が原点にあります。ですから、その正反対のことをやろうと思っただけです。社長ではなく、社員全員で経営する――理念だけではない実際の仕組みを考えて導入したわけです」。
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