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■ 新商品開発の経緯も公開
『Fit』は各パーツをバラバラに取り外すことができ、ファッションに合わせて多彩な色の組み合わせを楽しめる

 ITを活用した21の情報システムの教育効果は、ほかにも発揮されている。

 顧客からのクレームが、21本部宛てに入ることがある。最初のクレームでは、該当する加盟店に対して、ネット上で「イエローカード」を出す。「イエローカード」を出しても改善が見られない場合――具体的には再度、顧客からのクレームが来た場合は「レッドカード」を出して、フランチャイズ店ならば、21の名前を使わないボランタリーに変更させる。「失敗は許しますが、手抜きは許しません。そうした経緯をすべての加盟店とネットで共有していますから、サービスレベルが下がらないのだと思います」(前出の池本氏)。

 それだけではない。新商品の開発面でも、見逃せない威力が発揮されている。平本氏は次のように説明する。

 「この3月に、『Fit』という革命的なオーダーメイドフレームのメガネを発売します。レンズやブリッジなどの各パーツが簡単に取り外しでき、自由に組み合わせることができます。しかも“超弾性機能”を開発し、抜群の復元力とフィッティング性を実現させることに成功しました。この画期的な新商品開発のやり取りも、実はネットを介して行い、その経緯をすべて公開したのです」。

 具体的には、新商品開発の経緯やノウハウ、さらには同商品の優れた特徴を社員は同時にネット上で学習することができた。この結果、新商品「Fit」の開発に携わっていない社員でも、顧客から問い合わせがあれば即座にきめ細かく答えることができるし、さらには次の新商品開発のベースにもなる。「日頃、お客さまに接しながら商品のアイディアを考える習慣が身につくと思います。若い社員も『自分でも開発できるかもしれない』と思い始めていますね」(平本氏)。まさに、ナレッジの共有を実現したわけだ。

■ 企業存続に一番大切なこととは

 ここまで見てきたように、21流経営の真髄は「徹底的な情報公開・共有による民主主義の実践」にあることが分かる。

 「すべての情報を公開しているから、無能なだけの管理職なんか自然となくなるわけです。これまで、社長から『君の部下のA君は10点でいいんじゃないか』と言われ、『いや、8点で十分です』と答える。部下には『社長は7点でいいと言ったが8点にしてやった』などと伝える。そんな“こっすい奴”が、のうのうと管理職に収っている企業が少なからずありますよね。隠し事を一切せず、情報公開を徹底すれば、“こっすい奴”は出なくなります」と平本氏は強調する。

 平本、池本、高橋のコーディネーターの三氏は、社員数約160人(インターン学生含む)という小振りな組織だからこそできるワザ、ということは認める。徹底した情報公開などは互いの信頼感がないと成立しないからだ。また、何万人という大きな組織では、いくらITを活用して情報をいくら公開しても、実際の仕事での接点が全くなく、結局、他部署の社員が何をやっているのか、その人の本当の顔がなかなか見えてこないからだ。

 「当社の社員は、28歳、29歳で年収800万円くらい取っています。権限も委譲されている。人間、カネと権限を与えてみると、どんな人間かはすぐに分かるものです。将来、共同経営者としてやっていけるか、独立して自分でやってもらうか、自ずと決まってきますね」と平本氏は語る。

 徹底した情報公開の背景には、自主性や正義を守ることに対する、冷徹なまでのこだわりがある。21の経営とその成功には、企業を存続させるためには、何が一番有効なのか、といったメッセージに溢れているように思える。

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