ここまで見てきたように、21流経営の真髄は「徹底的な情報公開・共有による民主主義の実践」にあることが分かる。
「すべての情報を公開しているから、無能なだけの管理職なんか自然となくなるわけです。これまで、社長から『君の部下のA君は10点でいいんじゃないか』と言われ、『いや、8点で十分です』と答える。部下には『社長は7点でいいと言ったが8点にしてやった』などと伝える。そんな“こっすい奴”が、のうのうと管理職に収っている企業が少なからずありますよね。隠し事を一切せず、情報公開を徹底すれば、“こっすい奴”は出なくなります」と平本氏は強調する。
平本、池本、高橋のコーディネーターの三氏は、社員数約160人(インターン学生含む)という小振りな組織だからこそできるワザ、ということは認める。徹底した情報公開などは互いの信頼感がないと成立しないからだ。また、何万人という大きな組織では、いくらITを活用して情報をいくら公開しても、実際の仕事での接点が全くなく、結局、他部署の社員が何をやっているのか、その人の本当の顔がなかなか見えてこないからだ。
「当社の社員は、28歳、29歳で年収800万円くらい取っています。権限も委譲されている。人間、カネと権限を与えてみると、どんな人間かはすぐに分かるものです。将来、共同経営者としてやっていけるか、独立して自分でやってもらうか、自ずと決まってきますね」と平本氏は語る。
徹底した情報公開の背景には、自主性や正義を守ることに対する、冷徹なまでのこだわりがある。21の経営とその成功には、企業を存続させるためには、何が一番有効なのか、といったメッセージに溢れているように思える。
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