コンテンツ
HOME
概論
概論
特別インタビュー
リクルート 大久保幸夫氏
アクセンチュア 山崎将志氏
ケーススタディ
住友金属システムソリューションズ
トゥーワン
リンク集
リンク集
用語集
用語集
■ 人材育成システムの概要

 まず、表1にある通り、「資格制度」「キャリアパス制度」「目標管理制度」「スキル診断制度」「教育訓練施策」からなる人材育成システムが決められた。

人材教育システム概略図
表1 人材教育システム概略図
 「資格制度」は資格等級区分の定義や運営について、「キャリアパス制度」はラインおよび専門職位の定義や昇格基準の設定について、「目標管理制度」は業務目標・評価および育成目標・評価について、そして「教育訓練施策」はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)・Off-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)について定められている。

 なお、スキル診断からローテーション制度および業績評価への連動については、様子を見つつ検討を重ねる、とのことである。

 ここで着目できるのが、「スキル診断制度」だ。これは、あらかじめ設定されたスキル診断項目に本人と上司が評価値を入力し、その分析結果を活用することによって、スキルアップの方向性や具体策を明らかにするというもの。基本システムである「Skill Compass」は、インターネット上にセキュリティをかけて設置されており、それを利用する。インターネット上に置いたのは、社員が客先に常駐しているケースがあるためである。

■ 評価項目を本人と上司が入力

 実際のやり方は次のようだ。自己評価入力画面を開くと、例えば「お客さまの状況の把握」という中分類の下に、「お客さまの組織の意思決定プロセスを理解する」といったスキル項目が列挙されている。

自己評価を入力をしているところ
  >>拡大する
 その項目に「1.お客さまの組織を理解せず仕事をしているので業績が伸びない」から「5.お客さまの組織ならびに意思決定プロセスを十分に理解して業績を大きく伸ばしている」まで、5段階の評価レベルが用意されており、自分が妥当と考えるレベルをチェックする。本人が入力した後、上司がそれを見ながら上司としての判断を入力する。
上司が一括して評価を入力しているところ
  >>拡大する

 「入力は1年1回。入力期間は、本人、上司とも1カ月間です。最多で25人ほどの部下を持つ上司がいるのですが、彼の入力作業は大変ですね。8月の入力開始から12月の結果分析まで4ヵ月ほどかかっており、その期間短縮も課題の一つです」と野坂氏は語る。

■ 本人・上司間の「評価ギャップ」がミソ

 この「スキル診断制度」の最大のメリットについて、「本人と上司の評価にギャップが生じることにある」と野坂氏は語る。これはどういうことなのか?

企画管理部技術教育グループ長
野坂博氏

 「実は、合併した後の4社の"融合"という強い狙いがありました。スキル診断制度での面談を通じて、上司と部下との良い意味での葛藤をどんどん推進して、社内に揺さぶりをかけながら意思疎通を図る。社員一人ひとりが自分の現状レベルに安住せず、もっとレベルを高めていかなければこの業界では勝ち残れない、という危機感があります。そのためにも、まずは上司と部下の間で議論が必要なんです。しかも論理的な議論が。経営陣にこの制度の導入を迫った理由はそこにあります。それまで、上司は真っ当に部下に対峙せず逃げていた面があります。上司と部下の間の評価ギャップは、熱い議論を巻き起こす恰好の材料でしょう」。

 狙いはもう一つある。自分の好きなことを同じポジションでやり続けたい――こう考えるベテラン社員が少なからずいるというのだ。彼らは、自分の得意分野を意図的に隠す傾向がある。なぜなら、それが知られると、それを活用すべき新しい仕事に回される恐れがあると考えているからだ。誤解を恐れずに言えば、自ら進んで新しい仕事をやりたくないというわけだ。

 「もっとやるべき新しい仕事が社内にはあるわけです。だから、今の仕事から"はがして"新しい仕事をさせたいのですよ(笑)」と野坂氏は語る。

2/4




Copyright (c) 2003 Nikkei Business Publications,Inc.All Rights Reserved.
プライバシーポリシー ■リンクポリシーご意見・お問い合わせ