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■ 「スキル診断制度」導入の歴史と苦労点

 ところで、この「スキル診断制度」導入の歴史について、綿田氏は次のように述懐する。

人材育成事業(HRP)統括部長
綿田弘氏

 「4社が合併する前から、この種のシステムがありました。私が在籍していた親会社の住友金属工業システムエンジニアリング事業部では、『各社にどんな人材がいるのか。これではビジネスドメインを再検討することができない』といった悩みがありました。そこで、自前で『技術力評価システム』というスキル診断システムを構築したのです」。

 この「スキル診断制度」開発のハイライトは、スキル項目と評価レベルの選択肢の文言作成にあった。旧4社の出身者が集まって打ち合わせを始めると、各社のスキル要件・レベルはバラバラで、定義や評価方法なども異なっていることが判明。それぞれの要件を出し合っていくうちに、スキル項目が膨大な数になってしまった。

 絞らないと実用に耐えない。ところが、旧4社をめぐる社内調整は想像以上に多大な困難を伴ったという。「なかば強引に項目を設定し、テスト運用に持ち込んだのです。当初3カ月間の予定が半年かかりました。その間、『なぜこの項目を入れないのか!』と袋叩き状態でしたね」と綿田氏は笑いながら振り返る。

 そして自前で構築した「技術力評価システム」を3年間運用して、いったんゼロに戻した。その後、細々と続けていた4社の内の1社である住友金属情報システムが、技術レベルの世間相場との比較を狙って導入した「Skill Compass」を、合併後のスミソル全体に広げたという経緯である。

■ 今後の検討課題は「一気通貫」

 「本当は『スキル診断制度』で出された結果を、人事考課や昇進昇格の判断材料に使うべきだ、と思っています。そこまでやって、初めて一気通貫する。現状では正直、まだ迫力不足ですね。導入3年目ですが、上司・部下ともお互いにまだ隠しあって実力通りの評点になっていませんね。まぁ、制度運用の評価を緻密に重ねないうちに、いきなり人事考課にまで使うと、さすがに社内の抵抗が大きすぎることは理解していますが」(綿田氏)。

 さらに今後の検討課題として、年1回の「行事」にしないで、例えばプロジェクト終了ごとにアウトプットできるようにすることなどが挙げられている。

 「スミソルは『できた人』よりも『できる人』を評価する傾向があります。結果オンリーの歪んだ実力主義の会社ではありません。結果だけ評価すると、みんな、おいしい仕事だけ狙うようになってしまう。大阪よりも東京のほうが有利だ、とか。肝心の自分のスキルを磨くことを怠ってしまう。そういう意味でも、個人のスキルを正しく評価し、処遇することができるこのシステムは重要だと思っています」と綿田氏は締めくくった。

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