ところで、この「スキル診断制度」導入の歴史について、綿田氏は次のように述懐する。
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人材育成事業(HRP)統括部長 綿田弘氏 |
「4社が合併する前から、この種のシステムがありました。私が在籍していた親会社の住友金属工業システムエンジニアリング事業部では、『各社にどんな人材がいるのか。これではビジネスドメインを再検討することができない』といった悩みがありました。そこで、自前で『技術力評価システム』というスキル診断システムを構築したのです」。
この「スキル診断制度」開発のハイライトは、スキル項目と評価レベルの選択肢の文言作成にあった。旧4社の出身者が集まって打ち合わせを始めると、各社のスキル要件・レベルはバラバラで、定義や評価方法なども異なっていることが判明。それぞれの要件を出し合っていくうちに、スキル項目が膨大な数になってしまった。
絞らないと実用に耐えない。ところが、旧4社をめぐる社内調整は想像以上に多大な困難を伴ったという。「なかば強引に項目を設定し、テスト運用に持ち込んだのです。当初3カ月間の予定が半年かかりました。その間、『なぜこの項目を入れないのか!』と袋叩き状態でしたね」と綿田氏は笑いながら振り返る。
そして自前で構築した「技術力評価システム」を3年間運用して、いったんゼロに戻した。その後、細々と続けていた4社の内の1社である住友金属情報システムが、技術レベルの世間相場との比較を狙って導入した「Skill
Compass」を、合併後のスミソル全体に広げたという経緯である。
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