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そうした取り組みを実行するために、いまやITの活用は必須であると。 |
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例えば、プロジェクトメンバーの発掘にしても、従業員のスキルやコンピテンシーをデータベース化することで、1次スクリーニングが比較的簡単にできるようになります。また、「ジョブポスティングシステム」も有効です。
ITによるコミュニケーションスタイルの変化は、いまさらですが、もう一度見直す必要があると思います。例えば、社内外のコミュニケーションは、必要に応じてアナログである電話から、できるだけデジタルであるメールにシフトする。例えば、交渉やお願い、打診などは電話を使うけども、業務命令、指示、報告、情報共有などは、メールを使う。電子媒体にすることは、後に残って共有できる、再利用できるなどの“IT前夜”にはなかったメリットがあります。
それをデータベース化することで、過去の経緯などがナレッジ化され、方針の共有が進むわけです。事例でも紹介されているトゥーワンが採用し、効果を上げていますね。確かに、電話で話したり、直接合って話したほうが楽な場合も多いですが、なるべく文字にして伝える努力を、もっともっとしていかなければならないと思います。さらに、画像、音声、映像なども活用すれば、よりコミュニケーションが高度化していくはずです。
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それ以外にも、促進のためのアイディアはありますか。 |
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プロジェクトの資料や中間成果物などもすべてデータベース化します。そうすることで、レポートなどのテンプレートや、分析ツールなどを共有でき、仕事がグンとはかどるようになりますね。それもe-ラーニングの一つだと思います。そういう意味でも、前述したようにe-ラーニングとナレッジマネジメントはシームレスでつながっている概念になっていますね。
e-ラーニングが効果を上げていない、ということをよく聞きますが、たいていは「コンテンツの質が悪い」「自分の仕事に関係ない」「忙しくて1日に1時間も勉強できない」「コスト削減という観点でしか、e-ラーニングを導入していない」といった要因が挙げられますね。
例えば、「Excelの使い方」などというありきたりなコンテンツを“強制”されても、大抵の人は、自分の仕事にあまり役立たない、と思っているのではないでしょうか。一般論の「Excelの使い方」が知りたいのではなく、目の前の仕事を片付けてくれる「Excelのテンプレートの探し方」のほうがよほど役立つわけです。
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「いつか仕事で使える英会話」が身につかないのと同じですね。 |
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その通りです(笑)。“nice to
have的な”ものは定着しません。活用されているe-ラーニングの特徴は「業務に直結している」「5分で終わる」「すぐ使える」というものです。
また、社内の電子掲示板(BBS)も長続きしませんね。やはり自分から見に行かなければならないものはダメなのかもしれません。その点、メーリングリストのようなプッシュ型の媒体ほうが有効でしょう。
100人くらいいる私の所属するグループで「メルマガエッセイ」なるものを実施しています。毎週交代で、担当者が5日間1つのテーマでメンバー全員対して何でもいいから書いてメルマガとして発信するわけです。グループ長のテーマは「私の1日」。普段何をやってるか傍目にはよく分からないんですが、色々と頑張っているんだなぁ、と感心しました(笑)。メンバーの顔と名前だけでなく、性格や興味が共有されたり、興味に応じたサブコミュニティが形成されたりと、コミュニケーションがかなり活発になりましたよ。そういった共感があるからこそ、このメーリングリストのメンバー間では、仕事に関する問題の解決も早い。
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メルマガの導入目的はコミュニケーション促進だけですか? |
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つまらないことを書くと、みんなからバカにされますから、必死に考えて書く訓練になります。それに、誰が読んでいるか分かっているので、誰に何を伝えたいのか明確にしないと、書けません。内容が悪いと、ものすごい厳しい突っ込みが飛び交います。また、いいことを書くと、逆に共鳴、賞賛のメールが飛び交い、一目置かれる存在になる。実はこのメルマガは、いま気づいたんですが、先ほど触れたミンツバーグの考え方の実践にもなってますね(笑)。
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